針と糸の作り出す世界
フランスの女性週刊誌「エル」が手芸作品を公募して、
年一回展覧会をひらいています。
今回の課題は《樹》でした。
そのなかの、何点かをお目にかけます。
このすばらしい作品をみていくと、ぬいとりやアプリケの
技術も大切でしょうけれど、それより人の真似をしない、
ほんとの〈創作〉を、色や形のみずみずしい感覚を、
フランスでは、どんなにみんなが大切にしているか、
よくわかるような気がします。
(暮しの手帖 1976年 43号より)
このブログを始めたときに、まず紹介したかった作品です。
76才のジャンヌ・ジャクリーヌ・ベルスピさんの作品です。
メルヴィ・スイットさんの作品 全部ぬいとり
いちばん外側の蜂と、その内側の白い花までは、大体きちんとならんでいますが、そこから下は、突如として自由奔放、右と左では葉っぱも花も枝もちがうし、一方で小鳥がさえずっているかとおもえば、一方には蜂の巣がころがっています。
そして、全体に虹のような感じを出しているのです。
見ていてあきない美しさ、木というもののいのちを、これほど楽しくとりだした作品は、そうめったにはないでしょう。
(文 増井和子 写真 初沢克利 パリ・ホルニィ図書館)