「呼吸している」雑誌
ブログを始めたのは、知りあいの方から、創刊号から1970年代までの「暮しの手帖」を譲り受けたのがきっかけです。
表紙のイラストや写真はもちろん、ページをぱらぱらとめくるたび新しい発見があり、特に興味をひかれたのは紙質とレイアウト、印刷の美しさかもしれません。
最近のような、つるつるしていない、ざらついた紙。
しかし、今よりよほど発色に味があり、しっかりとした写真の質感があります。
かすれや濃淡のある印刷と紙質が、版画のような味を出していたりするページ。
何より雑誌が「呼吸している」のが分かります。
昔のオープンリールのレコーディング機材を探しだして、あえて録音する海外のバンドの番組がありました。「音が呼吸しているから」と言っていましたが、同じような感覚です。
レコードの音は耳がすんなりと受け入れるというか、音に向けて耳をそばだてるような空間感があります。
雑誌も同様で『暮しの手帖』は、やはり呼吸している、木造家屋の感覚です。
POPEYE や北欧デザインとの共通点も
レイアウトの手作り感や、手描きのタイトル、小さなイラストが、あちこちに散りばめられたページなど。
70年代の創刊初期の「ポパイ」や「ブルータス」の雑誌レイアウトとの共通点さえ、見いだしてしまいます。
年月を経た雑誌なので保存状態がよいとはいえず、ページが変色したり、虫に喰われていたりする号もあります。
昭和のそんな驚くような発見を、少しずつ、ゆっくりですが、紹介できるブログになればと思っています。
1948年(昭和23年)花森安治さんと大橋鎮子さんにより、季刊『美しい暮しの手帖』第1号が創刊されました。