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昭和の「暮しの手帖」から

創刊号〜70年代「暮しの手帖」バックナンバーから。珠玉の記事をピックアップ

暮しの手帖研究室の協力者 読者から募集 1954年

1954年 商品テスト

「とと姉ちゃん」の第127話では、主婦テスターにアイロンがけを依頼してアイロンの商品テストが始まりましたが、実際に昭和29年の第27号で、編集部は「暮しの手帖研究室」に協力してくれる読者を募集しています。

商品テストの第1回目となる「ソックス」をのせた次の号です。


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雑誌のあとがきのページには、こんな見出しと募集記事がのりました。 

暮しの手帖研究室に協力して下さる方を求めています


「私たちの暮しに少しでも役立つようにとおもって、少し前から、この《暮しの手帖研究室》を作り上げました。まだとても貧弱なものですけれど、少しずつ、お金と人間をにらみ合わせて、充実してゆきたいと考えております。

この研究室の仕事の大きな一つとして、私たち毎日の暮しのなかで、いろんな役目をしている物を、使う方の立場から実際に使ってみて果たしてどうかということを調べてゆきたいのですが、それについて、協力して下さる方がほしいというわけです。」

募集の条件は?

協力者にお願いしたのは、次のようなことでした。

1 こちらから送る一定の品物について、こちらで決めた方法で、一定の期間に、家でその品物を使って調べて、その結果を報告してもらうこと。(品物は、指定したものを、ご近所で買うこともあります。)

2 その意味で次のようなことを希望しています。

*女の方であること
*主婦、もしくは家事担当者であること
*科学的な知識は必要ありませんが、ものごとを辛抱つよく綿密にキチンと処理できる人であること。
(日記を一週間分まとめてつけるような方は、ちょっと不向き。) 
*家族全部が協力してもらえたら、なおよい
*大人なら、年や学歴は問いません
*日本中どこに住んでいてもかまいません

3 調べてもらうための実費の他に、お願いするテストの種類によって、そのつどお礼をさし上げます。


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第27号の商品テストは「マッチ」

『暮しの手帖』の表紙から、小さなさし絵まで、イラストを一手に描いていたのも花森安治。

商品を使って知っていること

「テスターはテストしようという商品については、使って知っていなければならない。あたり前のことのようだが、これは、なかなか難しいことが多い。」と100号の「商品テスト入門」で花森安治が書いています。

生活のなかで商品を使ってみた経験がないと、どの点を見なければならないか分からない。
冷蔵庫なら、冷えるメカニックについてでなく、使い勝手が分かる人、そのためには、日常的に買い物や料理をしている経験、家族構成なども必要になります。

暮しの手帖研究室 協力グループ係へ

このような条件に合っていて、協力したい人は、次のことを書きそえて『暮しの手帖社内 暮しの手帖研究室協力グループ係』に手紙で申し込みます。


*住所氏名、年齢、学歴、職業(あれば勤め先の名前、仕事の具体的な説明)
*家族の構成(名前、年、勤め先、学校、健康状態など)
*一家の総月収のだいたいの内訳
*住まいのだいたいの間取り(自宅か、アパート、間借りなどの区別も)
*家にある家事関係の新しい器具(センタク機、そうじ機、ガスオーブン、ミキサーなど)
*水は井戸川水か水道の区別。火(煮炊き)はマキ、炭、ガス、電気、石油その他のどれか
*自分の特に好きな家事(料理、編物、センタクなど)



すでに2千名近い応募

協力者を募集した次の号(第28号)のあとがきには、2千名近い応募がすでに来ていることが報告されています。

この号の商品テストは「鉛筆」でした。

「このまえの27号で、私たちの〈暮しの手帖研究室〉の仕事に協力してくださる方を募りましたところ、12月20日までに、1952名の方が、申しこんでくださいました。そのあとも、毎日申しこんで下さる方が、つぎつぎとございます。」

募集してから2週間ほどではないでしょうか。編集部にとっても予想外の多さだったようです。

「みっともない話ですけれど、実を申しますと、こんなに大勢のお申し込みがあろうとは、考えておりませんでした。私たちとしては、大変めんどうなことをお願いするのだから、せいぜい200名か、多くても300名くらいと考えておりました。その何倍ものお申し込みをいただいたので、めんくらうやら、うれしいやらで、ちょっとびっくりしているところでございます。」


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協力者を募集した後の、第29号「商品テスト その4 アイロン」では、毎日アイロンを使っている女性24名に柄の持ち具合をテストしていますが、実際にアイロンがけをするテストまでは至っていません。

その代わり、1000名の主婦にアイロンについてのアンケート調査が行われていて、アイロンのテストは全17ページのボリュームある報告となっています。


また、これはメーカー側へのメッセージでしょう。 
「電気アイロンをテストする」の最後には、こんな文章があります。

おねがい 

この日用品のテスト報告は、これによって、すこしでも、私たちの使う品がよくなってゆけば、という気持ちから行われているものです。
したがって、一度テストした商品でも、その後、よくなった点があれば、その都度、またテストして、その結果を公表してゆくつもりですから、そういう品がありましたら、直接作っておられる方なり、或いは使っておられる方なりから、ちょっとお知らせ頂ければありがたいと思います。
なお現在までにテストしたのは、ソックス(26号)、マッチ(27号)、鉛筆(28号)です。 


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