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昭和の「暮しの手帖」から

創刊号〜70年代「暮しの手帖」バックナンバーから。珠玉の記事をピックアップ

「ぬいとりの花」刺しゅうの図案 1951年

雑誌のなかで唯一のカラーページが、刺しゅうの4ページでした。

ひかえめに、「ぬいとりの花 武井孝子」と見出しがあるほかには、何も文章は付いていないのです。

昭和26年6月の第12号、まだタイトルが『美しい暮しの手帖』だった頃です。

(写真はクリックで大きくなります。)


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初夏らしい色糸のぬいとりに、何かひかれるものがあって見ていて心地よいのです。

洗いざらした木綿のような清潔感と素朴な愉しさ、力強さ。


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武井孝子さんが、どういった経歴の方なのか分からないのですが、昭和26年9月16日号の『週刊朝日』の表紙が武井孝子さんで、おそらく同じ方ではないかと思います。 




たぶん、この刺しゅうのページは、他のページもカラーで色があふれていたら、そのなかに埋まってしまったかもしれません。

だけど、このページだけがカラーで、あとはモノクロのグラビアと読み物といった初期の質素さが、かえってお互いをひきたてています。

雑誌に寄せられているエッセイからは、終戦から6年でまだまだ暮しぶりが、あっぷあっぷしている状態なのが伺えるのですが、むしろ軽妙で、洒脱な感覚があったり、書き手にバラエティがあって面白いものが多いです。

花森安治の「続・服飾の読本」のページから、やはり初夏らしい「白い服」。

白い服(続・服飾の読本)

日本人の肌に一番似合う色は、白だとおもう。
その意味で、夏は、日本の女のひとが一番きれいに見える、たのしい季節である。

小麦色に焼けたヒフと、純白の服とのコントラストは、まったく美しい。まだまだ日本という国は、夏でなければ白い服の着られない古風さを持っているから、せめて夏の何ヶ月かは、白い服で通して、おもう存分、美しさを発揮すべきである。

その意味で、夏に色の服を着ることは、短い一生を損をして暮している計算になるだろう。

白い服は、しかし汚れやすいという声もあるに違いない。けれども、汚れやすいというだけで白い服を着ないのなら、そのひとは、すこし意地の悪い言い方をすると、きれやすいから絹やナイロンの靴下を履かない人であろうし、和服のとき、白い足袋を穿かないひとに違いない。

年に一度のおシャレだから、せめて夏は、白い服を着たいものである。

(第12号 続・服飾の読本より)


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