昭和の「暮しの手帖」から

創刊号〜70年代「暮しの手帖」バックナンバーから。珠玉の記事をピックアップ

ジャムを作りましょう サト・ナガセ『暮しの手帖』1954年

ページをめくっていて、写真の美しさに思わず手がとまってしまったのが、こちら。 

イチゴの季節です 
ジャムを作りましょう サト・ナガセ

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バロック期のイタリアやオランダの絵画を見るようでもあり、モノクロを超えた色彩感と質感が伝わってきます。

竹を編んだざる、当時は竹製品は日常の必需品で、『暮しの手帖』にも登場しない号はないほどですが、竹細工・あけび細工、北欧の白樺のカゴなど、人が惹かれるものには共通点があるようです。
 


ジャムを作りましょう

「ジャムだけは、自分の家で作らないと、本当の風味は味えないのです。どんな人でも、必ず出来て味の変らない作り方、フランスの農家で昔からやっているしかも簡単な方法をご紹介しましょう。」
として、日本よりフランスでの生活の長いサト・ナガセさんが作り方を紹介しています。(第24号 昭和29年)


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材料 ジャムは苺でもなんでも、果物の量と砂糖が同量。
苺400匁に(1.5kg)砂糖400匁で大体コップ5つ出来ます。

1匁=3.75グラム 

 厚手の鍋を使います。鍋に砂糖を入れて、強火にかけて、すぐに全体をぬらす程度に、約カップ1杯の水をかけてやります。

2 そして、しゃもじで、こげつかぬようにゆっくりかきまぜてゆきます。全体に火が通ったらとけてゆきます。

 砂糖がたぎって、グツグツしてあわがたちだしたら砂糖が煮えたのです。

 いちごは洗って、すっかり水気を切ってから青いヘタをとります。ヘタを取ってから洗うといちごの中に水が入って、味が悪くなります。たぎっている砂糖の中にいちごを入れます。


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 いちごが煮えて、浮き上がってきたらザルかうらごし器にいちごだけよく汁をきって引き上げます。

 なお鍋の中のいちごの汁を煮つめてゆきます。砂糖のアクが浮きますから、すくいとって、約15分ほどたぎらせてから又この中に、うらごし器にとってあるいちごを、やけどをしないように入れてもう一回煮つめます。

7 コップを煮て消毒して、すっかりかわかしておきます。
いったん火をとめて、いちごをカップに等分にわけて入れてゆきます。
汁は皿にとって逆さにしても流れないていどにもう一度煮詰めます。そして汁をその上にそそぎます。

 このコップをそのままにして上から紙をかけて、約1週間おいておきます。水気も蒸発し、梅雨近く、とかくカビが出そうですが1週間もそのままにしておくと煮たりない時は必ず白いカビが表面に出て来ます。

出たらすくい取って、もう一回煮かえします。そうすれば大丈夫です、一週間たっても何ともなければ上手に煮上ったのです。

コップの口より少し大きめのセロファンを、アルコールに浸して、ジャムにぴったり押し付けて、口をとじます。
コップの上をセロファンでもう一回帽子をかぶせるようにして、しっかりしばっておきます。


★東京にくらべて、パリの気候は平均気温が低く、梅雨もなく乾燥しているので、保存は大丈夫なのか定かではありませんので、保存方法はご参考までに。
(当時は、冷蔵庫はまだ普及していない頃です)



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この写真もいいですね。

「巴里の人は、苺の季節になると、夜の七時か八時頃、野菜市場が店じまいする頃に行って、残った苺を安く値切って沢山買ってきます。そして、三十カップも四十カップも、一年中のジャムを作って貯えるのです。これがフランス家庭の行事になっています。そのおいしいこと、売っているジャムは量を多くするため寒天などをまぜたものがあって、とてもくらべものにはなりません。」


サト・ナガセさんは「ジャムを作りましょう」に先がけて、17、18号に「巴里ずまい」というエッセイを書いています。
そのあと、「巴里のおそうざい」や、お菓子の作り方を連載。
ふらんす・あんまきは、クレープのことです。

20号 巴里のおそうざい
22号 りんごの天ぷら 
(昭和29年) 
24号 ジャムを作りましょう  
25号 ふらんす・あわゆき  
26号 ふらんす・あんまき  


「巴里ずまい」や、「奥さんはお人よし」(第34号)のエッセイでは、日本の〈御用きき〉にサト・ナガセさんがどうしても馴染めない様子が書かれています。フランスの主婦は、自分で見て、自分のほしいものを、値段と照らしあわせて買い物をする習慣がついているから、ということ。

「フランス人と日本人の相違に、いろいろありますが、まずお金の使い方が一番目立って違います」といった話など、現在にも通じる部分もあり面白いので、後日に紹介できたらと思います。


merimaa88.hatenablog.com