『暮しの手帖』がまとめた上手なふきんの使い方、6つのポイント。(前回の記事)
さらに詳しく見てみましょう。
昭和35年、日東紡と暮しの手帖社の共同研究によって、2年がかりで作り上げられた新しいふきん。
丈夫さ、吸水性、使いやすさ、あらゆる角度からテストを重ねたふきんです。
それでも・・・生乾きで使い続けたら、やっぱりふきんは臭くなってしまいます。
上手にふきんを使うポイントは?
①十分に乾いていないものは使わないこと
なま乾きのふきんには、とかくバイキンがいます。
そういうふきんで食器をふいたりするのは、きれいにしたつもりでも、じつは逆にバイキンをこすりつけていることに、、
十分乾いたふきんなら、その点心配がありません。
②たっぷりした大きさで地厚なものを使う
たっぷりした大きさがないと、十分にふきんの役目を果たせません。
厚くて大きいと、ふくときの能率が上がるからです。
③まとめて石けんできれいにセンタクする
使ったたびに、流しでコチョコチョと水洗いするのは、気休めみたいなもの。
といって、そのたびにせっけんで洗うのも、手間がたいへん。
一日使ったぶんをまとめて、あくる日の朝でもセンタクするようにします。
④かならず日光にあてて十分に乾かすこと
いくら乾いていても、室内で乾かしたのでは、バイキンは残っています。
必ず外で日光にあてて乾かすことです。
もし雨が続いたりして日に干せないときは、めんどうでも1枚ずつアイロンをかけます。(現在は、電子レンジを使う手もあります。)
バイキンはアイロンの熱で死滅するからです。
⑤4人家族で、10枚以上のふきんを用意すること
ふきんが汚れたりビショビショになったら、センタクした新しいのを出して使うには、ある程度の枚数が必要。雨などでセンタクできない日のことも考えると、10枚以上は用意しておきたいもの。
センタクしたふきんは、台所の流しに近い戸棚か引出しに、場所をきめてしまっておくようにします。
⑥使ったふきんをまとめておく場所を工夫すること
1日分のふきんをまとめてセンタクするとなると、使ったふきんをまとめておく場所を考えます。
ふつうのセンタク物入れと別に、何かカゴを用意しておきましょう。
ふきんの大腸菌 殺菌方法
基本は、「石けんでよく洗って、必ず外でお日さまに当てて乾かすこと」
その他の殺菌方法として、
宮城県保健環境センターの「布巾の殺菌効果の検討(2011)」によれば、ふきんの大腸菌の殺菌には次の3点が有効。
*煮沸
*次亜塩素酸 ナトリウム溶液
*電子レンジ(マイクロ波照射)
ぬるま湯で中性洗剤で洗っただけでは、ふきんに大腸菌は残ってしまう。
そこで、どうすれば完全に殺菌できるかテストしたところ、次の3つの方法で大腸菌などは完全に殺菌された。
①100°Cの熱湯で 5分間の煮沸を行う。
②1mg/L 以上の濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液へ 5分間浸ける。
③電子レンジで1分間以上の加熱
以上のテスト結果から、
ふきんは、まず「洗剤でよく洗ってから、外で日光の紫外線に当てて乾かす」のが基本。
(Lukiesh の実験によれば、盛夏・晴天・正午の太陽光では、シャーレ中の大腸菌は64分間で99.99%が殺菌される。)
梅雨や雪など、外に干せない時期があります。
そういったときは、
①なべに水を入れて100°C に沸騰させて、ふきんを5分間煮る。
②あるいは、電子レンジで1分間以上の加熱で、大腸菌等が完全に殺菌される。
(電子レンジの加熱 30秒間では、ふきんの温度が 60~70°C程度で、十分な殺菌効果が得られない。1分間以上の加熱で、80~90°C程度の温度状態になる。)
③また、高温でふきんにスチーム・アイロンをかけるのも効果的。
昭和の『暮しの手帖』の時代、電子レンジはなかったので、日光とアイロンが主な方法。
日東紡のふきんは、レーヨンと綿の混紡なので、高熱には弱いため煮沸では縮んでしまいます。
次亜塩素酸ナトリウムは、プールや水道の殺菌消毒、漂白剤など幅広く使用されています。ただ、酸と混合すると塩素を発生して危険。高濃度での使用はふきんに塩素残留も考えられるので、なるべく薬品を使うのは控えたいもの。
総合的に考えると、「高温でふきんにスチーム・アイロンをかける」のが、匂いのついた場合にも効果的。
良質なふきんが、結局お得な理由
さて・・・あらためて見直してみると、台所のふきんは小さな布でありながら、毎日よく働いて酷使に耐えている存在です。
それならば、ふきんはどんなものがよいのでしょう?
『暮しの手帖』が考えたのは以下の点でした。
①水をよく吸うもの
②洗って丈夫なこと
③しなやかなもの
④ケバのつかないもの
⑤サイズが大判なもの
それを日東紡と共同研究して、拭きやすく、ケバがつかず、乾きやすいふきんをレーヨンと綿の混紡でつくったのが、今なおロングセラーになっている日東紡のふきんです。
そして、ふきんの管理には、こうして洗ったり、乾かしたりと手をかけるのですから、ふきん自体が良質なものでないと意味がないです。
日東紡ふきんは、パナマ織という織り方を採用。
綿65%・レーヨン35%で、水をよく吸い、キュキュっと拭けて段違いに能率があがる。
また、水で濡らしたときの、レーヨン混のしなやかさが特徴。
「さあ、拭こう」という手ざわりで、、使い勝手も気持ちがよいもの。
安価な合成繊維のクロスは、ケバが抜けて、ふいた机にケバが残るのが分かるぐらい。
ケバがつかないというのは、予想外に大きなポイント。
そうなると、安いだけで選んでも、それは本当に安いのか・・?と疑問に思えます。
外で、太陽と風を浴びて乾かしたTシャツを着る気持ちよさと同じ。
石けんでよく洗って、お日さまで乾かしたふきんを使う台所と、臭いのついたケバの出るふきんを使う台所とでは、何かが一変してしまう、、、
使い古したふきんは、そうじなど、何でも使えます。これもまた、使い心地は優秀。
ふと思いついて、「非常用の持ち出し袋」の中にも、このふきんを数枚入れておくことにしました。
★縁に色の入っていない真っ白いものもあります。
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