昭和の「暮しの手帖」から

創刊号〜70年代「暮しの手帖」バックナンバーから。珠玉の記事をピックアップ

直線裁ちは着こなし勝負?『暮しの手帖』創刊号

創刊号の作品から

『暮しの手帖』創刊号に掲載された、6点の直線裁ちの作品。

*紺ガスリの服
*赤と黄の格子縞
*ジャンパー・スカート
*更紗もようのツーピース
*袖なし外套
*銘仙地の格子縞

「紺ガスリの服」と「赤と黄色の格子縞」の2点は前回の記事にありますが、他の4点も鎮子さんや中野さんなどスタッフの力作です。

更紗もようのツーピース

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更紗模様のカベお召しの羽織から作ったデザイン。
脇線からベルトをつけて、後ろで大きく結ぶ。女ざかりのひとに着てほしい。

カベお召:よこ糸に壁糸を使ったお召九波状の壁糸を使うことにより、表面にざらざらした凹凸のあるお召になる。

銘仙地の格子縞

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材料は黒っぽい昔の銘仙。
見頃と袖は続けて、斜めに使った。
カフスはキャラコ。エリもやっぱり白いキャラコで直線で裁ってある。若い人のために。


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ジャンパー・スカート

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脇をまっすぐに裁ったジャンパースカート。材料は、学生時代のレインコートを染めかえたもの。
下に季節によって色々着られるから、使い道の多い、気の利いた服。

袖なし外套

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初冬、早春のころは、こんな直線裁ちの袖なし外套がいい。
腕の動きが、その人の美しさをきめるのだし、そのためにも袖がないほうがいい。 


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「イキ」と表現したいような感覚

実際に直線裁ちの服を着てみた感想を、鎮子さんは次のように書いています。


「毎日この直線裁ちを着ていると、着てみてからのよさ、を発見しました。袖つけ線がないので、大柄の和服地でも楽に着こなすことが出来ます。
ただ着こなしの上手、下手が和服のときと同じようにとても大切になりますが、それも着なれてくると、和服の「イキ」とは少し感じは違うけれど、「イキ」ということばで表現したいような感覚があることです。」(「直線裁ち」大橋鎮子)


「和服の肩から流れる線の美しさ、ゆたかな布の動き・・・その和服の線、これはもう体だけの線でもなく着物だけの線でもありません。
和服は直線で裁ってあるので、この直線と体の曲線がデリケートに響きあってあの美しい流れる線が出て来ると申せましょうか。

これまでの洋服に、この美しさをとり入れ、新しい感覚の服を作りたいと花森先生がデザインしたのが「直線裁ち」、アメリカ風にいうと「キモノ裁ち」のデザインなのです。」(「直線裁ち」大橋鎮子)



日常のなかで、結ぶ、結う、包む、絞る、たたむなどが当たり前であった当時の暮しともつながっていたでしょう。

そういえば、ふと思ったのが「アロハシャツ」

アロハシャツのルーツは日本の着物とも言われていますが、第4号では男性用のシャツも、麻の白がすりなどから直線裁ちで作ったりしています。

当時のハワイの移民の人たちのなかには、着物をそのまま直線裁ちのように使って、シャツに仕立てた人もいたかもしれませんね。


merimaa88.hatenablog.com

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