着物から洋装への必需品だった
『暮しの手帖』創刊号のグラビア・ページでは、
〈可愛い小もの入れ〉
〈直線裁ちのデザイン〉
〈ブラジアのパッドの作り方〉
〈自分で結える髪〉
・・・と記事が続いていきます。
〈ブラジアのパッドの作り方〉という記事については、唐突という感じで、なぜ雑誌のトップ記事なのか関連性が分かりませんでした。
理由が分かってみると、戦後の混乱のなか着物では生活に不便であったりすることから、いざ洋装に変えることに試行錯誤する女性の大変さも実感します、
「とと姉ちゃん」では、服より大事なこと
「とと姉ちゃん」第89話では、花山が『スタアの装い』2号目だけ手伝うことになります。
そして、「君たちは大きなことを見落としている、どんな服を雑誌にのせるかばかり考えているが、それよりも大事なことがある、それが何か見つけるように」と、三姉妹に言って帰っていく場面があります。
後日、常子はその答えとして、
「洋服を着たいと思っても下着がなければ着られません。洋服を着る際の大前提です。ですが、それを忘れて素敵な洋服の作り方を説明しても、手が出せない方がいらっしゃるのではないでしょうか・・・? つまり、まずは下着の作り方から、載せる必要があった・・・違いますか?」
花山は「ご名答!」
「これまで着物で生活してきた人は、洋服用の下着を持っていない人も多い。かといって、外で買うにも高価で手が届かない。どうやって下着を作り、繕うのか、それを伝えれば、洋服を着たい人が安心して着られるということだ」と話します。
ブラジアのパッドの作り方
1. 直径2ミリ位の針金を約1メートル、ちょうどお椀を伏せたような形にペンチで静かにまげていきます。
そして、丈夫な糸でおしまいの所を2、3カ所写真のようにしっかり結んでおきます。
2. 紅指(注:薬指)の頭くらいに綿をかたく丸めて、それを布でつつんでちょうどテルテル坊主の頭のように作ります。
この小さな綿坊主を、写真のように針金の山のところにはさみこんで、ペンチでしっかりとりつけます。
3. この針金の山にガーゼをすっぽりかぶせてみて、まだ廻りに1センチか2センチ位ゆるみのある大きさに裁ち切り、このガーゼのまわりを糸でぐるっと縫っておき、その糸は切らないでおきます。
4. このガーゼで写真のように針金の山をつつみこんで底側を、さっきの糸をしぼって、落ちつかない針金の形をきめて、形をととのえ、しっかり糸を結びます。
5. およそ直径16センチぐらいの円形に白い布を裁ち、写真のように底にかぶせて、ふちにまつり付けます。
このとき、ピンと張りすぎるとブラジアをしたとき胸にしっくり合わず、お乳が飛び出した感じになります。自分の乳の張り加減を考えて、布にそうとうゆるみをもたせて下さい。
6. 次に脱脂綿を厚さ1センチ位、この小山にふんわりかぶせて、写真のようにブラジアの乳の凹みにはめこみ、まわりをぐるっととぢつけて出来上がります。
7. ブラジアは勿論、肌に直につけるものですから、たびたびセンタクしなければなりません。
そのときは必ずこのパッドを外して、別々にセンタクしてください。
材料
• ブラジア(いわゆる乳押えのようなものでなく、パッドが入る余裕が乳の部分で出来ている、つまり乳の高いもの)
• ガーゼ少々
• 白い木綿布少々
• 脱脂綿
• 針金(2ミリ位の太さ)
• ペンチ、木綿糸と針、ハサミ